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東京高等裁判所 平成6年(ネ)4215号 判決 1995年6月26日

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  控訴人と被控訴人とを離婚する。

2  控訴人と被控訴人との長女A(平成元年三月一六日生)の親権者を被控訴人と定める。

3  控訴人は被控訴人に対し一五〇万円及びこれに対する平成五年一〇月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  控訴人は被控訴人に対し、平成四年一月から平成七年三月まで一か月当たり五万円、同年四月から平成二一年三月まで一か月当たり六万円を各毎月末日限り支払え。

5  被控訴人のその余の請求を棄却する。

二  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを五分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の各負担とする。

事実及び理由

第一  申立て

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

本件控訴を棄却する。

第二  事案の概要及び証拠関係

一  本件事案の概要は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これをここに引用する。

1  原判決二枚目表二行目の「姑、小姑」を「控訴人の母、姉」に改める。

2  同二枚目表四行目の「離婚等前項の請求に係る裁判」を「控訴人との離婚、慰謝料五〇〇万円の支払、当事者間の長女についての被控訴人への親権者の指定及び養育費毎月六万円の支払」に改める。

3  同二枚目裏二行目、同三行目の「姑ら」を「控訴人の母、姉」にそれぞれ改め、同一一行目、同一二行目、同三枚目表四行目、同一一行目、同裏三行目の「姑」を「控訴人の母」にそれぞれ改め、同四枚目表三行目の「義母ら」を「控訴人の母、姉」に改める。

4  同四枚目表一二行目の「満五歳」を「満六歳」に改める。

5  同四枚目裏一二行目の「小姑」を「控訴人の姉」に改める。

6  同五枚目表七行目の「かったのであり、」の次に「被控訴人にその両親の下への毎週の帰宅を許す等控訴人は被控訴人の気持ちをほぐす為の努力をしており、」を加える。

7  同五枚目表一二行目の次に行を改めて次のとおり加える。

「(四) 本件婚姻が破綻しているとしても、右は被控訴人が一方的に家出をし、遺棄したものであるから、被控訴人の請求は有責配偶者からの離婚請求であって認められるものではない。同様に、慰謝料請求も認められないものである。」

二  証拠関係は、原審及び当審における本件記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりであるから、これをここに引用する。

第三  争点に対する判断

一  当裁判所も、被控訴人の本訴請求は、平成四年一月から平成七年三月までの養育費を一か月当たり五万円とするほか、原判決の認容する限度で理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「三裁判所の判断」に記載の理由説示と同一であるから、これをここに引用する。

1  原判決六枚目表一〇行目の「姑や小姑」を「控訴人の母や姉」に、同裏九行目の「姑」を「控訴人の母」に改める。

2  同七枚目裏七行目の「全く」を削る。

3  同七枚目裏一一行目の末尾に続けて「確かに控訴人も、被控訴人の気持ちをほぐす努力等をしたこともうかがわれるが、右が適宜の時期に適宜の方法でなされたかについては疑問がある。」を加える。

4  同八枚目表六行目の「もやは」を「もはや」に改める。

5  同八枚目表七行目の次に行を改めて次のとおり加える。

「 そして右の経緯に照らすと、右破綻につき被控訴人のみが有責であったとすることは到底できない。」

6  同八枚目表一一行目の「満五歳」を「満六歳」に改める。

7  同八枚目裏二行目初めから同六行目末尾までを次のとおり改める。

「(二) 前記認定の事実並びに前掲証拠及び弁論の全趣旨によると、被控訴人は現在は満六歳で平成七年四月から小学生になったAと母子寮で生活しているが、会社に勤務して一五万ないし一六万円の月収を得ていること、控訴人は、鰻屋を経営しているが、その収入で母、長姉、次姉全員の生計を立てるほか月額二〇万円程度のローンの支払もしていることが認められ、右事実に、弁論の全趣旨によって認められる、控訴人と被控訴人の将来にわたり予測される経済力の対比その他諸般の事情を考慮すると、控訴人が負担すべきAに対する養育費は、学齢に達するまでは月額五万円、その後は月額六万円と認めるのが相当であり、控訴人は平成四年一月から同児が学齢に達する平成七年三月までの間毎月末日限り五万円を、同年四月から同児が成人に達する平成二一年三月までの間毎月末日限り六万円を支払うべき義務があるものと解される。」

8  同八枚目裏八行目の「本件婚姻に至る経緯」を「本件婚姻及びその破綻に至る経緯、婚姻期間、被控訴人に落ち度がなかったとはいえないにしても」に改める。

二  以上によれば、原判決は、平成四年一月から平成七年三月までの養育費を一か月当たり五万円を超えて認容する部分に限り失当であるがその余は正当であるので、右のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

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